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2013_01
28
(Mon)00:00

徒桜 2

始めましての方は

まず先に 徒桜1 をお読みください
と言っても前回はプロローグなため
読んでも読まなくても本文は理解できると思います

オリキャラが出ます
流血表現があります
そういったのがお嫌いな方はスルーでお願いします




外は深更の黒
漆黒の空には細く尖る月が浮かんでいる
その月すらも雲に隠れて今は見えない

その中で蠢く人影がひとつ
それが進む方向に迷いはない
その者がある場所でぴたりと進みを止めた
歩みを止めた先には扉
その者はそこにそっと手をかけた

ゆっくりと音もなく僅かに扉が開かれる
作り出したその隙間からそこに忍び込んできた黒い人影が一つ
その姿は全身が真っ黒ないでたちで覆面をかぶっている

それはひっそりと物音をたてないようにとあるところへと慎重に歩を進める

そこからつながる奥にある扉を開けばその先には豪奢な寝台
その上には掛け布に包まるようにこんもりと小山が作られている
この部屋の主はどうやらぐっすりと眠りこんでいるようだ

物音をたてないように慎重に事を運んでは来たが
気取られていない事に内心でほっと一息ついた

それを確認した人物はさらにゆっくりと音を立てずに寝台へと昇る
そしてその小山の近くに寄ると懐に忍ばせていた短剣を鞘からすっと音もなく抜きさった後
そこを目がけて勢いよくそれを突き刺した―――

「―――!!??」

確実に目標である人物に刃を刺したと言うのに手ごたえがない
たとえばそれば鋭い痛みを与えられた時のうめき声も
そこから流れ出るはずであろう紅い染みも何一つとして見当たらない
何よりも手になじんだあの肉を断つ感触がしないのだ
まさかと思い掛け布を勢いよく引き剥がせば
そこにあったのは眠っているはずであろう人物の姿などではなく
人の大きさ程度に丸められた布の塊であった

そしてようやく謀られたという事を理解した

――任務は失敗だ

ならば早々にここから立ち去らねば
そう踵を返そうとした瞬間に後ろから低く嘲笑うかのような男の声が発せられた

「――どうした、目的の人物がいなくて戸惑ったか」

バッと後ろを振り返る
そこには長身の男が一人
暗闇の中で分かるのはそれだけ
先ほどまでまったくと言っていいほど気配を感じていなかったというのに
一体いつから見ていたのだと言うのか
その圧倒的な威圧に背中に冷たい汗が流れる

外に灯されている外灯の明かりが窓から差し込んでいる
そのうっすらとした明りにその人物の表情が映し出された

「なんだ、私がここにいる事がそんなに不思議か?」

口元は弧を描くように歪められていると言うのに
こちらへと向ける視線は苛烈なまでに厳しい
自身はまるで腹を空かせた獣の前に差し出された餌のようだ

じり、と寝台から徐々に離れる

一瞬の隙すら見せてはいけない
見せればすぐさま食らいつかれ喉笛を食いちぎられるだろう
暑くもないのに額から汗が流れる
覆面をしていなければきっとその汗は頬を伝い顎から流れ落ちているであろう

そうして目の前の男は腰に佩いていた長剣を鞘からすらりと抜き去った

「我が妃を狙った罪、その身でもって知るが良い」

冷え冷えとした言葉が放たれた瞬間、目の前に刃が振り下ろされた
刃が振り下ろされる瞬間に他に忍ばせていた短剣を抜きとり
剣と剣を交差させて一撃を凌ぐ
ギインと刃と刃がぶつかる硬質な音がする
そして何とか剣を跳ね返しそのまま後ろへと飛び退いた

完全に回避したかと思った行動もむなしく
額の布にぱっくりと切り目が入っている

つう…と額から血が一筋流れおちた

「ほう、私の一撃を防ぐとは」

感心したようにだがまだまだ余裕のある声音で発せられるそれ
余裕のある笑みなど見たくはなかった
先程も一体いつ間合いをつめられたのか気が付かなかった

何とか凌いだ剣の重さは相当で未だに腕がしびれている
狼陛下の名を欲しいままにしていると言うのは
名ばかりではないようだ

国主であると言うのにこの圧倒的な強さとは
認識不足が悔やまれる

目の前を掠める剣を間一髪で避ける
そのまま避け切り窓を突き破り逃げればよい
そうちらりと退路を確認した瞬間の隙を獰猛な狼は逃しはしなかった
考えていた算段は一瞬にして切り崩される

避け切ったと思っていたその一閃から更に足を踏みこまれ
逆方向から刃を返された
その動作も視界に入っていたので更に避け切れるかと思ったが
相手側の動きの方が少しばかり早かった

「――っ!!」

刃が脇腹を抉る
鮮血が飛び散る

思わぬ深傷にがくりと膝が落ちそうになるが
何とかそれを堪え負った傷に手を当てる
ぱたぱたっと床に血が音を立てて落ちる
当てた手の隙間から生温かい液体が大量に流れおちてくる
逃げることはどうにかできるようだが時間はかけられそうにもない
このままでは出血多量で動けなくなるだろう

「楽に死ねるとは思わぬ事だ。先ずは背後関係をきっちりと吐いてもらおうか」

此方を見る目がすうと細められる
まるで狼が獲物をしとめるための最後の狙いを定めているようだ

仕方がない
無い隙ならば此方から仕掛けるしかない

ふらつく足に叱咤をして渾身の力を込める

ダンっと勢い良く踏み込んで男の懐に飛び込む
男は目を見開いている
きっと思っていたよりも動きが早くて驚いたのだろう
そしてそのまま持っていた武器を下から突き上げる
男の方はそれを長剣で防ぎそれを払いのけた

ニヤリと覆面の下でほくそ笑む
払いのけられた勢いのまま窓際へと飛び込んだ

ガシャンと派手な音を立てて窓が破られる
そして黒づくめの人物はあれだけの深手を負っていたと言うのに
夜闇にまぎれて姿をくらませた

 * * * * *

「報告します!城壁に血痕を見つけました!おそらく賊の物と思われます!」
「…外に逃げたか」

黎翔はチッと舌打ちをしながら先程の人物が逃げ出した窓を忌々しく睨む
隣で李順が眉を顰めている

「…陛下」
「分かっている」

そうして報告を伝えに来た兵に次の指示を出す

「城下への兵を増員しろ草の根分けてでも探し出せ」
「はっ!」

そして黎翔は室内を見渡す
真っ黒な闇の中にあったこの部屋は
今では煌々と明かりがともされ室内の様子がよく分かる

荒らされた寝台の上
床には無数の血痕
逃げる際に割られ粉々になっている窓

――夕鈴に怒られるかな…?

黎翔はふうと溜息をついて下を向けば
足元にきらりと光る何やら糸くずの束のようなものを見つけた
それを拾いとり明かりにかざす

「―――髪の毛、か?」

その色は金色に輝いていた





徒桜3につづく





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No title

初コメです(*^_^*)

続き気になります!!

楽しみにしてますねー♡

2013/01/29 (Tue) 18:20 | 陽向 #- | URL | 編集 | 返信

Re: No title

陽向様

コメントありがとうございます♪
まだまだ先は長いですが
おつきあいくださいませね

2013/01/31 (Thu) 11:55 | ももひろち #- | URL | 編集 | 返信

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