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2013_04
29
(Mon)00:00

徒桜 14

はじめましての方は
まず先に

徒桜1徒桜13をお読みください


今回は陛下視点



黎翔は自室にあつらえられている椅子に座っていた
机に右手の肘をつき額に手をやっている
何とか気を落ち着かせようとそのまま深く息を吐く

その体勢のままぱらぱらと手元にある書類に目を通していく

内容は浩大に探らせていた物の報告書だ
怕の素性やそれらに関する対策や結果が書かれてある

内容は予想通りと言っていいか想像していたものと同じような事が書かれてあった

そしてもう一度深く息を吐いた

うてるべき手はすべて打った
それはここ最近の鬱憤を晴らすかのように
半ば八つ当たりめいていたのも自覚はしている

それでもやはりイライラは収まらない
目を閉じれば青褪めた夕鈴の表情が脳裏に焼き付いている
自身よりも夕鈴が暗殺者を庇ったと言う事に少なからず動揺して
夕鈴にまで刃を突きつけてしまった

普段ならば狼陛下の顔をちらつかせるだけで
萎縮するか逃げ出すかなのに
今回はそれが無かった
逆に必死に黎翔と暗殺者の前に立ち命乞いをした

それがどれだけ黎翔の腑を重くしたのか彼女は知らないのだろう

ふうと溜息をついて件の暗殺者を思い出した
最初の襲撃時には闇にまぎれて確認できなかったが
あの青い目と金の髪はいかにも異国の顔立ちのはずなのに
当人は異国の出ではないと否定した

はるか西の国はそう言う容姿の者が多いと聞く
だからこそそこから来た者かと思ったのだが
報告書を見、なるほどと納得した

そんな中で僅かばかりながら黎翔の目がすがめられる

後ろから近付いた人物に懐に忍ばせていた暗器をそちらに向かって投げつけた
そして投げつけられた人物の頬を掠め暗器が壁につきささった
突き刺さった暗器を見ながらも飄々とした声を出したのは浩大だった

「あっぶな~。殺すつもり!?」
「知るか。気配を消して後ろに立つ奴が悪い」
「へいへい。新しい報告をとりあえず知らせに来たんだけど?」
「なんだ」

少なからず八つ当たりが含まれている事は黎翔とて気が付いている

ここ最近は夕鈴は怕とかいう暗殺者の看病にかかりきりだ
本当にどうかしているとしか思えない
自分の命を狙ってきた者と知って看病しているだなんて

夕鈴は知らないのだ
そんな善意が悪意でもって返されることがあるだなんて
善意が善意で帰ってくる保障など何一つとしてないのだ
そんな世界で生きてきていない夕鈴には知る由もないのだろうが

黎翔にとってはそれが一番怖い
裏切られ傷ついた夕鈴が変わってしまう事を恐れている

だからこそ夕鈴には気が付かれないように隠密を付けている
それはあの暗殺者も気が付いていることだろう
報告書を見る限りなかなかの手錬れと書かれてある

それは黎翔からの暗殺者への警告だ
次に彼女を傷つけようとすれば容赦はしないと

例え夕鈴に恨まれようとも泣かれようともそれだけは覆せない

だが黎翔もまた夕鈴に会う事は躊躇っていた
もし対面してあの時の恐怖を思い出し泣かれるなり
震えるなりの怯えを見せられたら何をしてしまうか分からないからだ

暗殺者が大丈夫なのに自分は何故と問い詰めてしまいそうだからだ
だから会えない
もう少し自分の気持ちが落ち着くまでは会えそうにもない

それなのに夕鈴に会いたくてたまらない
執務をしていても移動していてもそこかしこに夕鈴を思い出す
もう二度と笑いかけてもらえないかもしれない
そんな不安が胸に渦巻くたびに夕鈴に会いたくなる

せめて自分が思っているほんの少しでも良いから
黎翔に会いたいと思っていてはくれないだろうかと
ありもしない思いを想像してしまい
突きつけられる現実に落ち込みそうになるのだった

そんな黎翔に確実に気が付いているのだろう
ニヤニヤとした表情を隠そうともしない浩大が
忍ばせて居た報告書を黎翔に手渡した

「落ち込んでんね」
「うるさい。余計なことは言うな」

じろりと睨みつければ浩大は肩をすくめる

「はいはい、あ、そうそう緊急の報告がもう一つ」
「ああ」
「どうやら接触を図ってきたみたいだよ」
「そうか、で?」
「相手は捕まえて牢に放り込んでおいた」
「そうか」

どうやら想像通りの事になりそうだと黎翔は手を握り締めた

黎翔は片手に剣を持ち席を立つ
それと同時に浩大もその場から居なくなった

 * * * * *

居室を離れ庭へと降り立った黎翔を
再び現れた浩大が少し斜め前を先導していく

「予想通りと言うか何と言うか出ていくつもりだね」

その浩大の言葉に黎翔は言葉を返さず淡々と浩大の後を付いていく
それと同時に足音を消し気配を消し、滲みでそうな殺気すらも消した

そうしてたどり着いた場所でしばらく気配を断ち周囲の様子を伺うと
音もなく注視していた場所に降り立った怕が居た

その姿を伺うと知らず手に力が籠る
夕鈴の気持ちを踏みにじるその行為に抑え込んだ殺気が漏れそうになる

怕が周囲を見回しそこから走り去ろうとしたその瞬間に
黎翔は声をかけ隠していた姿を見せた

「何処へ行くつもりだ」
「…国、王…!!」

ここに何故いるのかと驚きで目か見開かれる

「あのような事をしておいて監視が付かぬとでも思っていたか?」
「…撒いたはずだ」

その言葉に黎翔はふっとまるで嘲笑するかのように口元を歪めた
その表情にギリッと怕が歯を食いしばる

「このまま戻るつもりか」

怕はその問いには答えない。だがその沈黙は肯定の意味をとる

「そうしてまた夕鈴を狙うのか?あれだけよくしてもらってなんとも恩知らずなものだ」
「っ黙れ!!」

はじかれるように顔を上げ噛みつく怕に淡々と黎翔は告げていく

「忍んできたお前の仲間はとうに捕えた」
「…っ!!」

怕が息をつめ黎翔の顔を見つめた

そんな時だった

「…へいか?」

後ろから声がしたのは







徒桜15へつづく
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