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2013_05
20
(Mon)00:00

徒桜 17

はじめましての方はまず先に

徒桜1徒桜16をお読みください


今回も小話あります
拍手お礼文にて更新♪

アンケートもよろしければご協力くださいませ





ようたつ、と悲壮な声でくず折れた怕への拘束はすでに解かれている
胸元を握り締め自身を抱えこむように蹲るその姿には
もはや反抗の意思はない

「怕…」

痛々しいその姿に夕鈴は名前を呼ぶことしかできない
ただただ見守ることしかできない事が歯がゆかった

そうしてしばらくし、すこしばかり落ち着いたのか
怕はゆっくりと身体を起こす
そのまま上げた顔のまま黎翔を睨みあげた

「…それで、国王。そんな話を教えて私に何をさせたい…」

その刺すような視線に黎翔は口元を吊り上げた

「話が速くて助かるな。なに、少々手伝ってもらいたいだけだ」
「手伝う…?」

訝しむ怕に黎翔は口元に笑みを浮かべたまま怕に事実を告げて行く

「ああ。おあつらえ向きにお前の属していた組織は先程言ったように今や混乱に陥っている」

誰がそうなるように仕向けたのかなどもう言わずとして知れている

いつからそう考えていたのか
いつからそう計画されていたのかなど知ることはないと
そう言葉の裏に滲ませて

そんな黎翔の言葉に怕は鼻で笑った

「…よく言う」
「そこで、お前の出番だ」

そんな怕の様子を一顧だにすることもせず
淡々とした言葉で怕への要望を口にする

知る限りのそこの内部情報を寄こせと黎翔はそう怕に告げた
二度と再起などできぬよう徹底的にそこを潰すつもりだとそう理由つけて

「我が妃を狙うような愚か者のいる集団など居ても毒にしかならない」

今回の妃への暗殺が
踏みとどまっていた黎翔の怒りと言う火に油を注いだのは明らかだ

怕のいた組織は黎翔の逆鱗に触れた

手を出すべきなどではなかったのだ
狼陛下の唯一の寵妃になど

怕はその事を噛みしめるように目を瞑った
そうして目をゆっくりと開き黎翔へと視線を向ける

「…妃暗殺を請け負ったのがあいつらの運のつきだったって言う事か」

鼻で笑う怕に黎翔はさらりと応える

「さあな」

此方へ牙をむく暗殺者集団など居ても目障りなだけだ、とそう伝えて

「最近になって此方に向けてくる刺客も増えていてな。そろそろ鬱陶しく感じていた所だ」
「…そして情報を与えた後は私も消すつもりか?」
「それはお前の出方次第だ」

その黎翔の言葉に怪訝そうな表情を隠す事もせず眉をひそめる怕に
黎翔はもう一つと条件を付け加えた

「夕鈴の護衛に就け」
「……」
「今回のことで少なからず恨みを持った残党がこちらに仕掛けてくるだろう。此方でも対応はするが必ず防ぎ切れるものでもない。お前には夕鈴の護衛として夕鈴の傍にいろ。そのままそれを依頼とし完遂すれば報酬を与えてやろう」
「……」
「沈黙は肯定ととるが?」
「……」

それでも沈黙を続ける怕から視線を外し
黎翔はふうと溜息をついて傍らにいた夕鈴に話しかけた

「夕鈴もそれでいいな?」

今まで黎翔と怕とのやり取りを茫然と見つめていた夕鈴は
いきなり此方へと話しを向けられて慌てて視線を黎翔の方へと向けた

「そう言うわけだから夕鈴は奴の傍に」
「それは分かりましたけどでも…」

夕鈴にとってはそのことはさほど困ったことではない
今までと変わりがないのだから別段苦労する事もないが
急な展開に感情が追いつかない
そう戸惑う夕鈴に黎翔は優しく語りかけた

「大丈夫だ」

目線を向けてくる夕鈴に向かって黎翔はほほ笑んだ
それは怕に対して向けていたような冷ややかなものではなく
夕鈴を安心させるような笑みだった

「まだしばらくは危険が纏わりつくだろうが他にも護衛をつける」

そう言った黎翔の背後から現れた李順が声をかけてきた

「――陛下」

「ああ、今行く」

いちど李順の方へと顔を向けた黎翔は再び夕鈴へと視線を向けた
そのにこやかな笑顔のまま夕鈴に話しかける

「今回の事が片付いたら一度ゆっくり話をしよう」
「話、ですか?」
「そう」

夕鈴の発言に首肯する黎翔に
少しばかり戸惑う表情を向けて夕鈴は更に困惑した
もしかしたらやはり解雇を言い渡されるのかもしれない
そんな不安な気持ちを混ぜながら夕鈴は黎翔に問いかけた

「あの、それはどういう…」
「うん?分からない?」

柔和な笑みで首を傾げた黎翔がすうと目を細めた
その様相に夕鈴は瞬時に背筋を凍らせた
そんな夕鈴の心情を知ってか知らずか
黎翔は笑みを含んだまま夕鈴の耳元へと顔を寄せた
そうしてそのまま耳元で囁くように告げて行く

「夕鈴には色々聞きたいことがあるからね。そう、今回の事を含めて色々と、ね」

そう言った黎翔が寄せていた顔から離れて行く姿を恐る恐る見上げてみると
そんな黎翔と目と目がかちあった

恐々と見上げる夕鈴の姿を意ともせずに
にこりと笑んだ顔があまりにも不敵なもので夕鈴はそのままガチンと固まってしまう
笑みを湛えた顔には怒りが含まれているように感じとった

つまりは色々と便宜を図ってはくれてはいるが
黎翔は納得はしていないと言う事だ
その事を何故だか直感で理解した

そのことについては仕方ないかと思うし
問われて答えないわけにはいかない
だけれどどうしてもまるで蛇に睨まれた蛙
狼に狙われた兎、の気分だ

「じゃあ夕鈴そう言うわけだから」

そう言い去って行く黎翔の姿を

そのままだらだらと背筋に冷や汗をかきながら見送った





徒桜18につづく


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