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2013_07
16
(Tue)01:54

君に会いたい(キリ番420000リク)

遅くなりました!

狼陛下の花嫁のss

リクエスト作です

キリ番420000をふまれました

エルエルバンビ様に捧げます




ふんふんふんと鼻歌交じりに書簡を読みながら
お菓子をばくりと一口ほおばる
もぐもぐと咀嚼しながら
ここに茶でもあったらのうとそんな呑気な気分で口の渇きを覚えた老師は
現在いる部屋の入口に人の気配を感じ取り顔を上げた

ゆったりとしつつもその立ち居振る舞いには隙が無い
にこりとも笑みを漏らさず無表情なままの人物

そこにいるその人はこの国の国王、珀黎翔だった

「おや陛下、いかがいたしましたかな?」

その無表情の理由に気が付いてはいるものの
白々しくも飄々と訊ねてみれば
少しばかり表情に動きが出る
普通の人ならばそれはとても分かり難いものだったが
その表情の動きを老師はしっかりと確認していた
そこから醸し出される雰囲気はそう。不機嫌、だ
そしてその理由にも心当たりがある

「…夕鈴がこっちにいると聞いたんだが」

案の定な言葉に内心で老師はニヤリと笑んだ

「さきほど水桶の水を取り替えに行ったところですぞ。何か急用ですかな?」

「…いや、顔を見に来ただけだ。時間が無いのでもう戻る」

「左様でございますか」

くるりと踵を返し王宮へと戻って行くその姿をみながら
老師はむふふと顔に浮かんだ笑みを隠す事は出来なかった

 * * * * *

「もう老師!掃除している部屋でお菓子食べないでくださいっていっつも言ってるじゃないですか!」

にやにやと先程の出来事を思い出しながら
再びお菓子を頬張り書物を読み進めていた

そうこうしているとその渦中の人物が戻ってきての第一声がこれである

ぷん、すかという表現がぴったりな表情で文句を垂れつつも
床にこぼれた食べかすを再び掃除し始める夕鈴に
老師は笑いを堪えるので精いっぱいだった

どうやら浩大の噂通り黎翔と夕鈴はすれ違っているらしい
そしてそれを気に病んでいるのが目の前にいる夕鈴ではなく黎翔の方だということに

会えなくても全く堪えた様子が無い夕鈴に
仕方あるまいと少し助け船を出す事にした

「そういえば最近陛下にお会いして居ないと聞いたが本当かの?」
「一体それをどこで…」

訝しげに眉を寄せた夕鈴はその情報を与えた人物に心当たりが付いたのか
寄せた眉を元に戻し、はぁとひとつ息を吐いた

「どうもこうもしませんよ。どうやらお仕事が溜まっててお忙しいみたいですよ」
「ほお」

それなのに夕鈴会いたさに仕事の合間にわざわざ足を運んだと言うわけか
そんな黎翔の内心に気が付いてまたしても緩む頬を隠すのが精いっぱいだった

 * * * * *

日に日に国王の機嫌が悪くなってきている

ひそひそと陰でこっそりと執務室勤めの官吏たちは噂し、危惧している
いつも冷徹怜悧な国王陛下である珀黎翔
官吏たちは常に国王陛下の顔色を窺っている
それは自分たちの心の安寧に直結に繋がるからだ

黎翔の機嫌如何によっては叱責が多少とも変わってくるからだ
普段から厳しい人物で駄目なものは駄目と気分によりそれを替えることない人ではあるが
それでも執務中の不機嫌オーラは半端ない

執務官である氾水月などはあまりもの恐ろしさに
ぽそりと出勤拒否を漏らした
そうなってしまっては更に機嫌を降下させるので一同必死になって説得させてもらったが
『ミスをしたら最期』それはここ最近の官吏たちの合言葉にもなっていた

今日も今日とて黎翔は不機嫌である

側近である李順は黎翔が醸し出すオーラに耐えうるごく僅かな人物のひとりではあるが
それにしたってこの機嫌の悪さに常にさらされて居れば看過できない物になってくる

その機嫌の悪さの理由についても織り込み済みなので
李順は仕方あるまいと一つ溜息をつき進言させてもらった

「あまり根を詰めても効率に支障が出ますし少し休憩に致しましょうか」
「……」

無言のまま動こうとしない黎翔に次のきっかけを与える

「今日は紅珠殿が来られるとのことでしたがもうお帰りになっている頃だと思いますよ」
「…会ったのか?」
「は?何がでしょう」
「……いや、いい。少し出てくる」
「かしこまりました」

やはり氾紅珠がいると長居ができないために躊躇っていたようだ
背を向けて退室していく黎翔を見ながら李順はやれやれと息を吐いた

 * * * * *

「だから言いがかりだと言っているでしょう!」

黎翔が内心浮足立って夕鈴の部屋へと向かっている途中で聞こえてきた声
それは久しぶりに聞く会いたかった娘の物だが
その不穏な内容に黎翔は眉をひそめた

「そもそも妃としての自覚が少々どころかかなり欠けておられるのではないのか?」
「なんですって!?」
「つい先日の事もお忘れになっておられるようだな」
「だから其れも…!!」

ぎりぎりと睨みあう夕鈴と柳方淵
どうやら話はこの場限りの物だけではないようだ

常ならばいつもの事かと軽く受け流せるその行動が
今の黎翔にとってはなかなか看過できない物になっていた

――自分はここ最近会う事もままならないと言うのに

忙しすぎて執務室に呼ぶこともできない
掃除をしていると言うので隙を見て後宮の立入禁止区域に足を向ければ
所用でそこを離れている
掃除が無い日は氾紅珠が訪れている
執務が終わり夜に訪れるには些か夜が更けすぎている

こうやって周囲の人物たちは何の気なしに夕鈴に会って居ると言うのに
どうしたことか黎翔だけが会えないままでいる
いい加減我慢の限界だった

「夕鈴」

愛しい娘の名前を呼ぶ
すると言い争っていた二人が声のした方へと首を回し驚きの声を上げた

「「陛下!?」」

なぜここにという二人の無言の言葉が聞こえてくるようだ

夕鈴の表情が本当に驚いている事を感じて
少しばかり胸が軋む

――自分はこんなに会いたかったと言うのに

だがそれを飲み込んでするりと夕鈴の元へと近寄る
そうしてぽかんとしたままの夕鈴の髪を一房とり
殊更に甘い声と表情を意識がけてその耳元で囁いた

「少しばかり休憩を、と思ってな。愛しい妃に会いに来たと言うのにつれないものだ」

そう言ったとたんにぼぼぼぼぼと音がしそうなほどに
首から顔に掛けて真っ赤に染め上げていく夕鈴を黎翔は楽しそうに見つめた

そのままちらりと方淵に視線を向ければまだ何か言いたげだった口を噤む

「…失礼いたします」

そう言って方淵は一礼した後去って行く
その際に夕鈴へ一睨みするのは忘れなかったようだが
夕鈴も夕鈴で睨みに応酬するのも忘れては居なかった

方淵が完全に立ち去ったのを確認した後ぎゅうと夕鈴を抱き締める
抱きしめた手にいつもよりも力が籠っているのはご愛敬だ

「へ、陛下!?」

驚きながらも問いかけてくる
久しぶりに聞くその声が心地よい

「夕鈴が、足りない…」
「なあっ?」

わたわたと慌てふためきだす夕鈴を腕の中に収めて
ようやく人心地ついた黎翔だった




最後じゃなくて最期(笑)

リクエスト内容は『嫉妬陛下』でした
リクエストくださったエルエルバンビ様
改めてありがとうございました!


↓ 以下更新が遅れたおわびの小話


「お忙しかったんじゃないんですか?」
「うんまあ、そうなんだけど効率も悪くなってきてたしね」
「ああ、根を詰め過ぎてもよくないですもんね」
「……」
「……」
「……」
「あのう…」
「うん?なに?」
「そろそろ離してほしいんですが…」
「うん。まだだめ」
「なっなんで!?」
「だってみんなずるい。仕事だからって僕だけ夕鈴に会えてなかったのに」
「え?えええ!?」
「だからしばらく夕鈴の補充しないと、ね?」
「なっ!ななななな?」


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